レポート

第29回 松山CDE研修会便り

[中予 / 地区便り] 2015年06月18日
[中予 / 地区便り] 2015年6月12日

研修会便り

研修会名:第29回松山CDEオープンカンファレンス
地  区:中予
開 催 日:平成27年 6月12日(金)
場  所:ひめぎんホール 3F 大8会議室
参加者内訳:医師 2名・薬剤師24名・看護師28名・管理栄養士 2名
     ・臨床検査技師 8名  計 64名

記入者:加戸 佳己(愛媛大学医学部附属病院 薬剤師)

研修会の内容:
メインテーマ
 『 糖尿病の安全対策を考える
     ~患者さんや新人をヒヤリ・ハットから守ろう!~ 』

研修報告:
 今回は、医療安全の視点での糖尿病について注目しました。まず、各職種から施設発表では、看護師の立場として済生会松山病院の中里衣里先生から「済生会松山病院における糖尿病に関するヒヤリハット報告の現状~スタッフの意識調査との比較~」のテーマで自施設でのインシデント分析、アンケート結果から今後の改善点についてご発表頂きました。指示の複雑性やマニュアルの徹底の難しさ、食事時間前の繁忙さなどいろいろな施設でも共感し、改めて考えるいい機会となるご発表でした。

 薬剤師からは愛媛大学医学部附属病院薬剤部の都築美穂先生より「糖尿病治療薬のここがキケン!」についてご発表して頂きました。インスリンの製剤名・規格で類似名があり、同じ混合インスリン製剤でもメーカーによって表記が異なる点など知らないと分からないので注意が必要であること、また、昨年から市場に出ているSGLT2阻害薬では口渇がわかりにくく、やせ形の高齢者はこれからの季節は特に脱水、サルコペニア(筋肉量の減少)に注意が必要であることを分かりやすく説明してくださいました。

 管理栄養士の立場からは「安易な糖質制限のここがキケン!」のテーマで愛媛大学医学部附属病院栄養部の清家祐子先生にご発表頂きました。自己判断で糖質制限を行った実際の患者さんの経過を追いながら説明して頂きました。メディアでは極端な糖質制限が流行っていますが、食事のバランスの重要性とともに、食事内容の変化から治療内容にも変更が必要となることから血糖値の推移の変化にも注意を払う必要があると思いました。

 続いて臨床検査技師からは愛媛県立中央病院検査部の土居忍先生から「SMBGのここがキケン!」についてご発表頂きました。血糖測定時のキケンとしては、指先に付着した果汁や砂糖によって血糖測定値異常が起きる!ことから血糖測定前の指先の手洗いが必要(手指消毒では不十分)であること、測定器の機種によってはビタミンCを多量に含む美白用ハンドクリームを塗った手指から測定すると血糖値異常を示すことを実際の数値やグラフを示していただきながら説得力のあるお話でした。血糖測定器も適正な温度管理が必要であること、測定方法によっても精度に特徴があること、血糖測定値に影響を与える因子についても頭の中の整理になりました。

 グループディスカッションでは「新人にも伝えよう!リスクを回避するワザ・ポイント」のテーマで話し合いました。今回は各職種の新人さんも多く参加していただき、活発な質問もグループ内であったようです。各グループからの発表では低血糖時の補食の摂り方(カロリーゼロや100%果汁はダメ)や甘味・塩味の慣れに注意!であること、薬に関しては名称や規格の違いに注意、薬袋などに薬効【糖尿病】などの表示の工夫、食直前や食前30分前の配薬・実施の徹底、インスリンや血糖測定については正しい取扱い、特徴(表示方法も含む)や不具合時の対処法を知っておくということなどが挙がっていました。自分だけなく新人さんをミスから守ろうという皆さんの熱意がとても伝わる、いいディスカッションになったのではないかと思います。

 今回まとめて頂いたシートをもとに新人さんなどの教育に使えそうな資料を作成してみますので、作成しましたらここに掲示します。各施設でご確認の上、ご活用いただけたら幸いです。
 先にアンケート結果を提示させて頂きます。回答いただいた皆様、ご協力ありがとうございました。


第29回松山CDEオープンカンファレンス アンケート結果

テーマ
  「 糖尿病の安全対策を考える
        ~患者さんや新人をヒヤリ・ハットから守ろう!~」

2015年6月12日 松山CDE研修会世話人【無断引用禁止

回収枚数 48枚  参加人数 64名  回収率75%

Q1. 職種について
  ●看護師 22名    ●管理栄養士 2名  ●薬剤師 17名  
  ●臨床検査技師 6名  ●医師 1名

Q2. 糖尿病療養指導士(CDE)の資格の有無

Q3. 本勉強会への参加回数

Q4. 施設発表について  

【感想】
   ・インシデント解析して対策を考えることが大事だと思いました。
   ・今度はミスが起きてしまった後の対策を学びたい。
   ・自分の職種以外のところはやはり難しい。
   ・覚えあるなぁというものから初知りまであって勉強になりました。

Q5. あなたのご施設では糖尿病に関して
           どんな医療安全を行っていますか?【複数選択可】

   病院内での講習会・勉強会の開催 26名
   病棟内での講習会・勉強会の開催 19名
   マニュアルの整備 15名
                 ※内 複数回答は20名
   指示簿の整備 4名
   治療薬の採用整理 12名
   行っていない  1名
   未記入     9名

Q6. ディスカッションについて   

【感想】
   ・他職種の方からの意見も聞いてみたかったけど限られた時間内では
     むしろ同じ職種でよかったと思いました。
   ・職種が同じ為、話の共通点も多かった。
   ・他職種の視点での考え方がよく理解できた。同業との情報共有ができた。
   ・他院、他職種の方と話すことができるので良かったです。
   ・同施設が多かったので、他施設の方の意見があまり聞けなかった。 

Q7.研修のご感想や松山CDE研修会に希望すること
  ・他職種でグループディスカッションもできるといいと思います。
  ・ディスカッションの時間が十分にあったので良かった。
  ・いろいろな立場から意見が聞けてよかったです。他2名
  ・専門職ならではの意見、アドバイスが聞けた。また、ディスカッション
     することで自分の病院の頑張っていること、足りないところが分かり、
     ディスカッションは常に行っていきたいです。
  ・毎回記録と発表が当たるので平等にして欲しいです。
  ・室温がかなり低く設定されているように思いました。
  ・CGM、CSIIについての研修
  ・症例を様々見てみたい。

連絡先 〒791-0295 愛媛県東温市志津川 愛媛大学医学部糖尿病内科内 (FAX:089-960-5848)
ECDE事務局メール:ecdejimu@gmail.com
© Ehime Certified Diabetes Educator (ECDE) All rights reserved.