メッセージ

愛媛糖尿病療養指導士(ECDE)の役割とこれからの方向性

愛媛県立中央病院 糖尿病内科
清水一紀

生物は生きる為に栄養を取らなくていけません。しかし肥料のやりすぎで植物が根腐れしてしまうように、ヒトも過剰な栄養摂取は障害を起こします。そ の代表的疾患が糖尿病です。食べるということは簡単にコントロールできるものではありません。運動を続けるためには時間や気力が必要です。いったいどのよ うに生活を改善していったらいいのか困った方たちは、テレビ番組や宣伝文句に飛びつき、ミゼラブルな結果が待ち受けています。この様な現状で糖尿病療養指 導士(CDE)は何をしたら良いでしょうか?

CDEが行うことは糖尿病患者への患者指導です。しかしCDEの資格がなくても、患者指導はできます。ではCDEは何が違うのでしょうか。患者指導 の基本は、正しい知識、技術を提供することです。本を読めば誰でもできることだという方もいます。しかしそれは大きな間違いです。まず第1に正しい知識、 技術は日々進歩しますので、本のような不変的な媒体では限界があります。第2に正しい知識を提供したつもりでも、正しく伝わっているとは限りません。患者 がどのような理解をしているか確認する必要があるでしょう。これらのことを解決するためのひとつの方法がチーム医療です。CDEはチーム医療をコーディ ネートし、正しい知識、新しい技術を常に学習することにより、CDEたる価値があるのです。まずあなたの中でチームを作りましょう。患者指導のもう1つの 基本である「態度」は、患者への心理的アプローチであると同時に、医療者の協調性を要求しています。

私たちは行動し、そしてこう言うのです。”I did it !”

CDEが患者指導を行うと患者の血糖は良くなるのでしょうか?残念ながらそのようなエビデンスはありません。しかし多くの医療者や患者がCDEの価 値を認めています。CDEが出せる結果は何でしょう。CDEは壊疽を減らすことができますか?透析患者、失明患者が減りますか?このような良い結果を出せ た時、CDEは社会に大きな影響を与えることができるでしょう。しかし糖尿病専門医もこのような結果を出せているわけではありません。ではCDEに何がで きるでしょうか。外来糖尿病患者の中断率が減少した、糖尿病薬のコンプライアンスの改善した、インスリンの打ち方の誤操作の減少した、眼科受診率の向上し た、重症低血糖での来院回数の低下などいろいろなアウトカムの改善が期待できると思います。

今、私たちは、一個人がCDEの資格を取って満足するのではなく、CDEが社会に対し何ができるかを考えなくてはなりません。行動し結果を出すこと が求められる時代なのです。まずあなたの身近の方たちを変えてください。そして糖尿病チームを作り、そのチームができたことにより何が変わったかという結 果をだしましょう。もし何も変わらなかったとしてもなぜ何も変わらなかったのかを考えることが、次のステップへ進む足がかりとなるでしょう。私たちは行動 し、そしてこう言うのです。

I did it.

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