各演題の概要は下記の通りです。
一般演題
≪療養指導に使える!モチベーションアップの法則とコミュニケーション術≫
糖尿病は慢性疾患という特性上、生涯治療を続ける必要がある。その為、モチベーションアップとともに維持できるような関わりが大切である。まずは、医療者でなく患者のなかにきちんと療養を行える答えがあるため、糖尿病患者の意識調査結果から治療に対する認識や理解度等を知っておく必要がある。そのうえで教育心理学(成人学習理論など)を核にして幾つかのモチベーション理論(自己効力感、マズローの欲求5段階説)、動機付けについて学び、患者に当てはめて行動を起こさなければならない。医療者としての基本姿勢や効果的なコミュニケーション術については、ともに取り組み頑張るという思いをもとに傾聴、共感するとともに、相手を信じて頑張りを褒めることも重要となる。
体験型グループワーク≪糖尿病患者に対し、やる気を呼び覚ます療養指導をやってみよう≫
まず、担当者よりリスニング・カンバーセーションのレクチャー及び方法の説明、2例の患者紹介をした。その後、患者、指導者、観察者の役割を各グループで決定し、ロールプレイを実施し、意見交換及び発表を行った。
第一に患者役についてである。①印象としては、どうすれば安心したり信頼できるかの視点であった。②話しやすさについては、相手の口調や傾聴、共感、復唱といった医療者の態度に関する内容であった。③指導者の理解しようとする態度の評価については、一緒に考える、また理解しようとする姿勢や自分を否定されないことが上がった。次に、指導者役についてである。
①患者から話を聞く場面の留意点として、生活状況を単に把握しようとするだけではなく、受容的態度や傾聴、褒めること、改善できる内容を意識するといった視点があった。
②自分の傾聴や共感の姿勢は相手に伝わったと思うか。については、患者役の反応(話を引き出せるか否か)で評価する傾向があった。
③相手の話を十分理解できたと思うか。それはどうしてか。については、自己評価が難しかったようだが、判断指標として患者役から引き出せた情報量と意図的に引き出そうとした情報が得られたか否かが主であった。相手の理解や共感を意識して行った結果、大切さとともに難しさも再認識したという結果であった。
④その他としては、先行の講義を踏まえて家族を意識したり、患者役の知識や理解により会話の活発化に差が生じることを再認識したという意見があった。最後に、観察者役である。
①二人の会話を聞いてきてどんな感想をもったか。については、褒めるだけでなく、その内容を知ろうとしたり、患者理解や信頼関係を構築しようと努力していることを感じていた。また、グループにいた多職種と協働しながら療養指導を行う様子が印象に残っていた。また、指導者が患者に対し、指導的態度ではなく普通の会話として見えた等、相手を尊重することが出来ていたとの意見もあった。
②指導者役の聞き方については、良い点としては、患者の頑張りを褒める・否定しない・笑顔や相槌といった態度や傾聴だった。また、相手の悩みに具体的解決策を提示することも上がった。問題点としては、互いが顔を見ながら話せなかったことであった。
③患者役の人が話しやすそう要素や場面については、受容的態度や褒めること、一旦同調してから具体策を提示することが大切さとして上がった。
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