JCHO宇和島病院 管理栄養士 久保田 紀江
第20回きさいや南予CDEセミナーが2025年3月29日(土)市立宇和島病院で開催されました。
前身のきさいや南予CDE研修会は、清水一紀先生より、南予地方で糖尿病療養指導士の単位が取得できる研修会を開催してはどうかとご提案を頂き、2011年に1回目の研修会が開催されました。それ以降毎年開催していましたが、新型コロナウイルス感染症流行にて、3年間中止となりました。2024年の春頃、世話人が集まり、開催しようという運びになりました。節目である20回目の講演に市立宇和島病院とJCHO宇和島病院に縁のある先生方にご講演をお願いしました。
記念講演1 CDEをとりまく医療情勢と今後の課題
愛媛県立中央病院 糖尿病・内分泌内科
部長 宮内 省蔵先生
記念講演2 CGMを活用した療養指導
愛媛大学医学部 糖尿病内科学
特任講師 川村 良一先生
記念講演3 外来での糖尿病療養指導について ~開業医の立場から~
あいら糖尿病・甲状腺・内科クリニック
院長 江口 透先生
宮内先生からは、突発的に起こる災害時、特にインスリン治療が欠かせない糖尿病患者に対し、どのように対応していくべきか、どんな備えが必要なのか、そして、高齢化が進んでいる日本において糖尿病だけでなくサルコペニア予防に向けた取り組みが大切であること、どちらも“備え”が大事であることを、災害時糖尿病医療支援チーム(Dia MAT)の活動や愛媛県立中央病院でのサルコペニア予防に対する取り組みを含めご講演頂きました。
川村先生からは、持続血糖測定(CGM:Continuous Glucose Monitoring)を活用することで、HbA1cだけでは分からなかった夜中の低血糖や食後の高血糖が分かるようになり、根拠をもって血糖管理を勧められることを実際の症例を元にご紹介頂きました。そして、“30分に1回は立って歩きましょう”と座位時間の長さは、糖尿病にもサルコペニアにも良くないことをご講演頂きました。
江口先生からは、基幹病院と開業医での勤務経験を紹介して頂きました。基幹病院ではチームで治療が行えていたこと、開業医では限られた職種の中、患者のためにできることは何かを考え、患者に合わせて関わっていること、そして、愛媛県宇和島市と鹿児島県の食生活の違いなどについてもご講演頂きました。
会場からは、たくさんの質問がありました。その中の1つに、「若手の医療従事者にCDEの資格を取得してもらうためにどのような取り組みをされていますか。」とありました。宮内先生から、若手に取得してもらうことも大切であるが、今取得しているスタッフを大切にすることが、ひいては次に繋がるのではとご回答頂きました。
よってきさいやCDEコーナーでは、市立宇和島病院 臨床検査技師の宮本 莉奈さんが担当されました。日本糖尿病療養指導士受験時、新型コロナウイルス感染症流行で試験が延期になり困惑したことや病院では高齢者に対しての指導が多かったが、サマーキャンプに参加し糖尿病のある子供達と接したことが新鮮であった経験を交え、資格取得までの流れや勉強の仕方などを分かりやすく紹介して頂きました。
20回目を迎えた当セミナーですが、新型コロナウイルス感染症流行時にオンラインで単位取得が容易にできる環境が整ったことから、今回で最後の活動になることを世話人会代表、松本源吾から説明がありました。
久しぶりの対面での研修会は51人の参加があり、活発な質疑応答もありました。セミナーが終了になるのは残念ではありますが、先生方からはCDEの良さを今後も広めていってもらいたいとお言葉を頂きましたので、各職場でCDEの良さを広めつつ、今後も各職種の立場から糖尿病治療に関わっていきたいと思いました。
これまで携わって頂いた先生方並びに関係者の皆様、ご参加頂いた方々に感謝申し上げます。