地 区:中予
開催日:平成25年6月21日
場 所:松山コミュニティーセンター3F 大会議室
参加者
内 訳:看護師30名、薬剤師10名、管理栄養士2名、検査技師4名、保健師1名
医師2名、歯科医師1名
記入者:日野千秋・武市佳己(愛媛大学医学部附属病院 看護師・薬剤師)
研修会
テーマ:血糖値と歯周病の関係―私達スタッフができること―
研修会を終えて
にしだわたる糖尿病内科の西田亙先生からは『炎症でつながる糖尿病と歯周病』の演題でご講演頂きました。重症の歯周病があった糖尿病患者さんが歯周病を治療されたことで、「ごはんがおいしくなった。薄味でいい」と患者さんの味覚に変化が現れたというお話から、血糖値がよければそれでいいという訳ではないということを痛感しました。そして、「口をきれいにすることが、患者さんだけでなく、医療者自身の健康につながる」という先生の言葉では、いつも血糖値やHbA1cだけで判断して患者さんを指導していたことにふと気付かされ、反省しました。また先生ご自身が歯科医院に足を運ばれてブラッシングを学ばれたお話からは患者さん側の視点や治療意欲を上げる声かけの大切なポイントも教わることができました。
日本古来の食文化に出汁(だし)があります。出汁といえば旨味ですけれども、旨味、油脂と甘味の中でも特に油脂と甘味は依存性があり、食する快感によって摂り過ぎ、それが体重の増加につながるということを今回初めて知りました。
「お口をのぞいて栄養指導してますか?」、「健口が健康をもたらす」、「崩食から宝食へ」
いずれも印象に残るお言葉で今後の私達自身の健康(口)と療養指導に活かしていきたいと思います。
続いて原瀬歯科医院院長の原瀬忠弘先生からは「歯科医院からみた糖尿病療養指導の勘所」というテーマでご講演いただきました。歯の平均寿命は前歯で60数年だそうで、平均寿命よりも「健康でかめる寿命が短い!」そうです。それは歯周病があると「噛めない」事態になり、よく噛まないことが急激な血糖値上昇を招くことになります。原瀬先生から「自分でできる歯周病チェック」をご紹介いただき、自分達の歯の状況がよく分かりました。
また歯周病の原因となる細菌(PG菌)は健康な歯を保てない状況(脳血管障害、心血管障害、お口のケアができない状態)になるとプラークが増え、それまで健康であった方も歯周病になり、炎症性サイトカインから血糖値上昇、糖尿病の悪化につながっていく流れがよく分かりました。他にも年齢と共に咽頭の位置が落ちてくると舌根が落ち、誤嚥性肺炎を起こしやすく、高齢者は特に注意が必要になるというお話もありました。
糖尿病は、代謝性疾患であり、歯周病は炎症性疾患でどちらも血管へのダメージが大きいことが共通しており、歯周病と糖尿病はコインの裏と表の関係について、歯周病は糖尿病の第6の合併症と謂れる由縁がよく分かりました。
“日本糖尿病協会では歯科医師認定制度を設けていますので、かかりつけ歯科医をもちましょう。”
糖尿病患者の歯周病対策
1.内科医師との連携
2.食事療法の指導
3.運動療法
実際に歯科治療に血糖測定が有用であることを示され、歯周病の進行度は検診では分からないので、歯科治療も必須ですとのことでした。
歯と糖尿病の関係の深さと大切さが西田先生、原瀬先生のご講演でよく分かりました。
優秀標語
してますか?お口をのぞいて療養指導!
智慧を出汁(だし)、油脂と甘味に負けないで